2008年01月31日

レビュー、 DVD「CINEMA DIFFERENT」

DVD「CINEMA DIFFERENT」(CJC/lowave)に、今津 甲氏(ライター)がレビューを寄せて下さいました。

DVDcinemadifferent_60.jpg


DVD「CINEMA DIFFERENT」http://amky.org/japanese/store/index.html


*今津氏には、サウンド&レコーディング・マガジン(リットー・ミュジック)、2008年1月号のreviewコーナで、DVD "Cinema Different"を取り上げていただき、さらに今回、新たにレビューを寄稿いただきました。



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 特に現代においてアートは、日常生活に欠落したものを補完しようとする形で顕われることが多い。その際の補完物質の最たるものの1つに、あらゆる産業の分野で駆逐の対象になってきた“ノイズ”があげられる。例えば音楽の世界ではレコード盤というノイジーなメディアからの別離を急いだあげくコンピュータ・ベースの音楽製作が常識となった。が、その余りに無菌室的な音質がアーティストたちの疑問を呼び、最近はいかに巧みにノイズを加えてゆくかがスキルのひとつとなっている。映像の世界もしかり。今ではコンピュータを買ったら最初からついているようなお手軽な映像編集ソフトにもフィルム・ノイズを加えるエフェクトが装備されていたりする。

 そして本作である。これもまたノイズ的な要素の付加を共通項とする作品集であった。多くの作品が画面のガタつきやキズが頻出する8ミリ・フィルムを用いていたし、デジタル・ビデオで撮られた作品もテレビ画面やプロジェクターの投影画像の再撮といったテクニックで映像を荒らしていた。画面に塗料を吹き付けたかのような効果を加えたり、あえてピントのブレをアクセントとしたものもあった。それらが誘発するファジーな質感-ザラザラとした木の肌や石の表面をなでるにも近い触感、が本作の魅力となっている。一切の曖昧さを許さないハイビジョン画像とは対極の心地よさ、と言ってもいいかもしれない。

 『CINEMA DIFFERENT』。これは高精細・高解像度時代だからこそその反語的な表現が目をひく、という意味できわめて現代的な作品集であると言えるだろう。
(ライター/今津 甲)

DVD「CINEMA DIFFERENT」http://amky.org/japanese/store/index.html
posted by amky at 09:40| Comment(0) | TrackBack(0) | review
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